WORKS

2023 肩を寄せあって

STORY

1999年早春に奈良県の小さな村で映画上映会が催された。丸太で組まれたテント会場。観客として集まったのは近くで暮らす村人たち。田んぼ仕事や旅行にと仲良き20人だった。 「肩を寄せあって」は上映会から20年が経った村の記録。 村人たちのその後を紡ぐ。亡くなられた人や元気な人。大切な思い出が交錯する。横田監督の父もまた観客のひとりだった。昭和6年生まれ。戦後を逞しく生きた人生。しかし撮影時は肺を患って入院中。最期のときを迎えようとしていた。
共に生きて、共にいつかは亡くなってゆく、そんな人々の姿を描くドキュメンタリー。監督自身による朴訥なナレーションが温かい雰囲気を醸しだしている。

Kata wo yoseatte
A film screening was held in a small village in Nara in the early spring of 1999. A tent was set for the venue built with logs. The audience was the village folk. They were close neighbors who had been working in the paddies and sometimes went on a trip together. “Kata wo yoseatte” is a record of this village 20 years after the screening. Gathering the threads of the folk’s later life. Some had passed away; others are still well. Everyone recalls their precious memories. Director Yokota’s father was one of the audience. He was born in 1931 and lived vigorously after World War II. However, he was in a hospital having lung trouble during the shooting. He was in his last days.
This is a documentary film that describes those people who have lived together and would pass away together someday. The simple and unsophisticated narration by Director Yokota sounds warm throughout the film.

デジタル / 16:9 / 48minutes

『肩を寄せあって』公式サイト

STAFF

撮影 /
横山健二
録音 /
横田敬子
音楽 /
島田篤
宣伝美術 /
西原楓 サトリデザイン
劇中写真集 /
秋山亮二『なら』
出演 /
清水順子・中野満代・池元秀次・池元幸子・安村弘・横田兼章 他

GRAPHICS

  • フライヤー

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DIRECTOR'S NOTE DIRECTOR'S NOTE

1999年にお寺のとなりにテントを建て映画上映会を催しました。観客として近くの皆さんがお越し下さいました。普段から仲良くされてる方ばかり。夢のようなひとときになりました。

2019年は上映会から20年の節目だったんです。皆さんのその後を追うことにしました。

亡くなられた方はご家族にお話しを伺いました。村の記憶みたいなものを大切にしたかったんです。

私の父も観客のひとりでした。撮影当時は病院に入ってまして。誤嚥性肺炎。必ず退院してくると思ってました。リハビリに励む姿を撮る予定だったんです。ところが容体が急変してしまって。

インタビュアーの私が予期せぬ事態に巻き込まれて当事者となってしまう。客観的に見れば面白いのですが、さすがに混乱しました。編集作業に時間がかかった理由かもしれませんね。

「共生」という言葉があります。人が共に生きるということ。持ちつ持たれつなんて言ったりもします。でも実は、これはある宗教学者が著書に記されていたのですが、人は「共死」でもあるんです。共にいつかは亡くなってゆく存在。少し冷たく聞こえますか。だけどそこに安らぎもあると思うんです。「肩を寄せあって」のタイトルにはそんな2つの「共に」を込めました。

映画の起点となった上映会は「火のように」の作品欄をご覧下さると尚よく分かって頂けるかと思います。