STORY
2017年に横田監督は『遺影、夏空に近く』を発表した。遺影写真を巡るドキュメンタリー。奈良県斑鳩町を舞台に7つの家族が登場した。『遺影、秋空に近く』はその続編となる作品。ただし前後編ではなく独立した作品だ。今回は新たに7つの家族に光が当てられた。ある方は母と営んだ料亭の思い出を語り、ある方は70代で再婚した両親のことを話し、ある方は父の面影を辿りコスモス畑に立たれる。そこにあるのは亡き人と遺された人のつながりの記録、家族の物語だ。村祭りや稲刈りなど秋の斑鳩が作品を彩る。中でも「御回在(ごかいざい)」はあまり公になることのない伝統行事。今回とても貴重な記録となった。
エンドタイトルに流れるピアノとチェロの音色が深い余韻を残す。
Iei akizora ni chikaku
In 2017, Director Yokota released “Iei natsuzora ni chikaku”, which is a documentary film of portraits of deceased people. It was filmed in Ikaruga in Nara, and 7 families appeared in it. “Iei akizora ni chikaku” is the sequel to “Iei natsuzora ni chikaku”, but they are independent films. “Iei akizora ni chikaku” sheds light on another 7 families. A man reminisces about his Japanese restaurant that he ran with his mother. Another man talks about his parents who got remarried in their 70s. A woman stands in a field of cosmos chasing a vision of her father. We can see each family story, the record of the relationships between the deceased and the living people. Ikaruga’s scene in autumn such as a village festival or harvesting brights up the film. Among them, “Gokaizai” is a traditional event that is not often made public. This film includes such a valuable record.
The sound of the piano and the violin playing during the end credits leaves a lasting impression.
DIRECTOR'S NOTE
『遺影、秋空に近く』の撮影は2024年の秋に行われました。『遺影、夏空に近く』から7年が経った頃でした。ふたつの作品を私は勝手に「遺影シリーズ」と呼んでいます。遺影写真を軸にした家族のドキュメンタリーであること、私と横山カメラマン、そして妻の3人がスタッフであること、登場するのが檀家さんであることなど、共通する部分が多いんです。とは言ってもいわゆる続きものではありません。新たに7家族を撮影した独立した作品となります。
2025年の年明けから編集作業に入りました。つないでみると改めて母と息子のエピソードが多いことに気づきました。亡き母に対する息子の思いですね。実は同じ年の10月に私自身も母を亡くすことになりました。肝臓癌でした。癌が見つかったのはその年の5月なので、撮影時は知らなかったわけですが、不思議な回り合わせとなりました。
それにしても出演者の皆さんが良く笑われます。亡き方のお話をされているのに笑いが絶えない。もちろん胸には痛切なもがあるはずです。だけどあくまでもトーンは明るい。その辺りも本作品の魅力かなと感じます。
前作は夏の斑鳩が舞台でした。田んぼの向こうに広がる入道雲や数珠繰りをする子供たちなど夏ならではの光景を作品に織り込みました。今回は秋の斑鳩が舞台となります。路地を練り歩く布団太鼓や美しく広がるコスモス畑が登場します。伝統行事「御回在(ごかいざい)」も必見ですね。
前回の作品は「夏」で、今回は「秋」。やはりここは「冬」「春」と続けたいですね。遺影写真を巡る小さな町の記録が、四季の巡りと重なり、大きな物語になればと思います。まだまだ時間はかかりそうですね。