WORKS

2006天使のゆげ

STORY

じりじりと焦げ付くような夏の夜。不快指数は上がるばかり。路地裏に停められた1台の車。興信所に勤める山田高士がカメラを構えている。レンズの先にはラブホテル。浮気現場の証拠を押さえるために張り込み中なのだ。車内には職場の先輩である杉野が。杉野は高士に「仕事を辞めるときは早めに言うてくれ」と投げやりに言う。高士は仕事を続けたいと口にするが、今ひとつ煮え切らない様子だ。その時ラブホテルの扉が開きカップルが登場。高士らが狙っていた男と浮気相手であった。シャッターを切る高士。浮気相手の女性が高士らの存在に気付き、車に近付いてくる。高士は車と杉野を捨てて走り出す。走って、走って、ラーメン屋の屋台に飛び込むが。それは更なる不可解な夜の始まりであった。

シュールでトボけた路地裏の映画。前畑陽平をはじめ小劇場の人気者が出演する。

Tenshi no yuge
At burning night in summer, a discomfort index is rising steadily. A car is stopped in a back alley. Takashi Yamada working at a detective agency is holding a camera beside the car. His camera is aiming at a love hotel. He is keeping a watch in order to gather the evidence of an affair. There is Sugino in the car, who is a man of experience in this job. He says to Takashi apathetically, “please tell me early when you want to quit this job.” Takashi answers that he is going to continue the job, but he seems indecisive. At that time, the door opens and a couple appear from the hotel. That is the man and his companion that Takashi is seeking. Takashi takes pictures of them. The woman, the companion of the man, notices Takashi and Sugino, then approaches to their car. Takashi leaves the car and Sugino, and runs away. Runs, runs, and jumps into a ramen stall. This is the beginning of even stranger night. This is a film of surrealism and foolishness set in a back alley. Popular actors in a small theatre such as Yohei Maeda perform in it.

DV / 4:3 / 40 minutes

STAFF

脚本 /
横田丈実
撮影 /
宮崎裕也
照明 /
柳瀬裕子
録音 /
棚瀬大輔
美術 /
江崎武志
編集 /
横山健二・横田丈実
音楽 /
宮村群時
出演 /
前畑陽平・中村大介・後藤小寿枝・年清由香・狩野直史・川島大伸・えび・十一十三・風太郎・芝田江梨

GRAPHICS

  • フライヤー

DIRECTOR'S NOTE DIRECTOR'S NOTE

「火のように」で真面目な方向に路線が向いたので、反動でもう少し荒っぽいものを作りたくなりました。

ほとんどのロケ場所がJR奈良駅近辺。と言っても観光スポットではなく、ラブホテルの周りであるとか、場末な場所が多かったです。奈良の町並みは2010年の「平城遷都1300年」をきっかけに随分ときれいになりました。この作品を撮影したのが2006年。まだ危ない雰囲気のする場所がかなり残っていました。

作品の9割が夜の場面なので、スタッフは朝より就眠。昼過ぎよりごそごそと起き出して、日の暮れるのを待って撮影開始、という流れになりました。

主役の前畑陽平くんは当時東京在住。劇団「シベリア少女鉄道」の役者として人気が出ていた頃でした。どうしても出演してほしかったので無理を聞いてもらいました。

ラーメン屋の屋台が登場するので、「火のように」に続き江崎武志くんにお願いすることに。出来上がったのが細部まで手の込んだ本物以上に本物らしいもので。撮影中に勘違いしたお客さんが来店するというハプニングが続きました。

音楽は宮村群時くんに頼みました。インドの楽器「タブラン」や「バンジョー」を織り交ぜた曲はどこか珍妙さがあります。主題歌のみが木内建弘さん作曲によるジャジーなもの。女性ボーカルが本格的で逆になんだか笑ってしまいますね。