WORKS

2006あかりの里

STORY

奈良県斑鳩町。法隆寺の門前町に大木涼子は母の初江と暮らしている。涼子の弟である尚之は長い間実家に姿を見せていない。尚之が和菓子職人の道をあきらめてしまい母と大ゲンカになってしまったのだ。そんなある日、初江が緑内障を患っていることが判明する。初江はふさぎ込みがちに。手術を受けようともしない。涼子は仕方なく尚之に連絡を取ることにする。久しぶりに再会する涼子と尚之。尚之はまた和菓子職人の道に戻ったことを告げる。尚之は母を元気付けるために何かをしなければと涼子を責める。かつて実家の周りで生産された灯芯。現在も隣町の安堵町で伝統技術が守られているという。尚之は初江に灯芯の灯を見せようとする。涼子は母との暮らしに土足で入り込む尚之の態度を許すことができず。

タウン誌「うぶすな」の企画による住民参加映画。美しい風景や伝統産業など地元の宝が詰まっている。

Akari no sato
Here is Ikaruga in Nara. Ryoko Oki lives in this town built originally in front of Horyuji temple with her mother, Hatsue. Ryoko’s brother, Naoyuki, has been silent for a long time since he had a terrible quarrel with their mother because he had given up becoming a craftsman of Japanese confectionary. One day, it is turned out that Hatsue has glaucoma. Hatsue comes to be depressed and never agree to take surgery. Ryoko unwillingly contacts Naoyuki. They meet again after a long separation. Naoyuki tells Ryoko that he is back to train himself for a craftsman of Japanese confectionary, and he blames her that she has to do something in order to cheer their mother up. Once, around their parents’ house, wicks were produced. It seems that in Ando town, that is next to their town, this traditional skill of wicks still has been protected and inherited from people to people. Though Naoyuki tries to show the light of wicks to Hatsue, Ryoko cannot forgive Naoyuki for his behavior that he steps into Ryoko and Hatsue’s life impolitely... This is a film projected by a town magazine “Ubusuna,” and the citizens participated in producing it. In this film, we could see various treasures in the town such as beautiful landscapes and traditional industries.

STAFF

企画 /
うぶすな
製作 /
「あかりの里」製作委員会
プロデューサー /
長田朱美
脚本 /
横田丈実
撮影 /
松浦昭浩
照明 /
岸田和也
録音 /
岸本祐典
音楽 /
宮村群時
編集 /
中山よし子・藤沢和貴
美術 /
江崎武志
制作プロデューサー /
赤松亮
メイク /
椿弥恵
題字 /
高田良信
出演 /
椎名桂子・浜口望海・川本美由紀・山路梨瀬・紅萬子・国木田かっぱ・林英世 木元としひろ・森祥子・綱本暢子・内藤和也・十一十三・浅川紫音・野島恵美子 長田トラヱ

GRAPHICS

  • フライヤー

  • フライヤー

DIRECTOR'S NOTE DIRECTOR'S NOTE

2000年代に町村合併の動きが加速した時期がありました。奈良県の西和地区7町がひとつになる動きがあったのですが、結局は物別れになりました。タウン誌「うぶすな」の編集長だった長田朱美さんが、行政による合併は実現しなかったけど、7町が力を合わせて何か出来ないかと旗を振られまして。映画作りの企画が動き出したんです。

まずは資金を調達するために製作委員会を結成。11名の個人や団体が名乗りを上げてくださいました。

脚本作りは製作委員会と意見をキャッチボールしながらの執筆となりました。皆さんそれぞれに思いがありますんでなかなかまとまらず。根気のいる作業となりました。露骨なPR映画にならないように心がけました。

撮影スタッフも多かったですね。「火のように」以上に現場のプロ主導が進みまして。恥ずかしながら役者の香盤表なるものもこの時初めて目にしたんです。

連日撮影のために西和地区7町を巡りました。法隆寺の門前町。王寺町の商店街。信貴山にある料亭。行く先々で住民の皆さんの協力を得ることになり。協力ではなく参加するといった感じですか。映画作りの持つお祭り的な求心力を実感しました。

物語の軸になる姉弟役には椎名桂子さんと浜口望海さん。プロの役者だけではなく住民の方々も出演。「灯芯引き」の伝統技術保持者である長田トラヱさんにもご登場いただきました。当時92歳。役者との掛け合いは、フィクションとドキュメンタリーが交じり合う面白い場面となりました。

完成後は「町おこし」の実例としてさまざまな場所で上映されることに。私にとっても「地元」を考える大きなきっかけとなりました。