WORKS

2017 遺影、夏空に近く

STORY

亡くなった人の写真を額縁に入れて飾ってみる。「遺影写真」という風習は日本人なら誰しも馴染みのあるものである。この映画は「遺影写真」についてのドキュメンタリー。奈良県斑鳩町に暮らす7つの家族を訪問。各家の「遺影写真」との関係を映し出していく。「ガンコ者の自転車屋さんが家族にだけ見せた笑顔」「靖国神社の写真と共に額装された戦没者」「どうしても鴨居の上に飾れない息子の遺影写真」そこから見えてくるのは亡き人と遺された人との繋がりだ。インタビュアーは作務衣姿の横田監督自身が務める。答えているのは横田監督の檀家さん。当然ながら濃密な時が流れていく。まさに「お坊さん監督」ならではの作品。舞台となった斑鳩町の夏の光景が作品を優しく包み込んでいる。

上映スケジュールは公式サイトをご覧ください。

Iei natsuzora ni chikaku
We put a portrait of a deceased person in a frame and display it. It is a custom everyone is familiar to in Japan. This is a documentary film of such portrait. The director visits 7 families living in Ikaruga in Nara, and describes the stories of the portraits for each family; a stubborn owner of a bicycle shop’s smile only at their family; a war dead framed with a photo of Yasukuni shrine; a son’s portrait that never can be displayed on the door header and more. We can see the relationships between the deceased people and the living people. This film director, Takemi Yokota, wears a monk’s style and plays the interviewer. The respondents are the supporters of his temple. Naturally such a deep time flows in each house. It is the very film only “a monk film director” can produce. This is gently filled with the summer scene of Ikaruga where is the stage of this film.

STAFF

撮影 /
横山健二
録音 /
横田敬子
音楽 /
島田篤
編集 /
横山健二・横田丈実
宣伝美術 /
林田全弘
web制作 /
サトリデザイン
出演 /
仲逸美・仲志澄・川口幸子・水田恵一郎・木村富美代・廣田正雄・廣田恒子 小東保司・福田憲嗣・福田信子・平田須美江・今村伸一・中野敦司・小城正義・阪本利夫

GRAPHICS

  • フライヤー

  • フライヤー

DIRECTOR'S NOTE DIRECTOR'S NOTE

処女作「その夏の、どん」が完成したのが1986年。随分と長い間映画を撮り続けてきたことになります。私も50歳を迎えようとしていました。

この作品は「遺影写真」をテーマにしたドキュメンタリーです。7つの家族を訪問しました。各家の「遺影写真」を通して、亡き人と遺された人との繋がりを描きました。

初めて本格的に檀家さんにカメラを向けた作品です。檀家さんを素材にしようと思ったのは、自分の人生を振り返って、やっぱり一番身近なもの、密度の濃いものに思えたからです。カメラというのは暴力的な要素があります。時には映る対象の心を傷付けてしまうことも。僧侶と檀家さんという「ふわっと」した関係性の中にカメラを持ち込むのは、ある意味胃の痛い作業でした。

撮影は盟友である横山健二くん。録音は全くの素人である家内に担当してもらいました。私自身も案内役として画面に登場しています。撮影スタッフは完全にこの3人だけでした。

音楽は島田篤さん。「大和川慕情」「加奈子のこと」に続いてとなります。叙情的だけど、感傷的にならない。難しい注文に見事応えてくださいました。

作品が完成したのが2017年。私も50歳をまたぎ越していました。

映画とスクリーンを持参して、地道に上映活動を続けています。なんだか紙芝居の興行みたいですが。出演者の方が映画を観てくださり、「うちの家の物語を残してくださって、ありがとうね。」と言葉をかけてくださいました。なんだかホッとしました。ようやく作品が完成したように思えました。