WORKS

1997100

STORY

いち、に、さん、しい。数字を数える女性の声。農道にて車が立ち往生している。運転手のサラリーマンがクラクションを鳴らしている。鳴らしている相手は、もう一台の車。サラリーマンの車の前方にて、道をふさぐように停車しているのだ。もっとも運転手は車に乗っておらず、助手と共に鉄くずを廃棄している最中だった。「少しどいてくれませんかね!」サラリーマンは今度は言葉で訴える。カチンとくる2人組。サラリーマンの車を揺するなど嫌がらせを始める。車を降ろされたサラリーマン。恐怖を感じて、手元の岩を手に取って、片方の男を一撃。数字を数える女性の声が「100」に到達して。

日常にひそむ魔の時を3分間で描くショートムービー。

100
One, two, there, four... woman’s voice counting numbers. A car gets stuck in a road between fields. The driver who looks like an office worker honks a horn to the other car which stops and obstructs the road. There is no driver in the car. He is disposing scrap iron with his assistant. “Move your car, please!” the office worker complains. Two men are offended by his words and start to annoy him by shaking his car. They drag him out from his car, and at that time his fear makes him grab a rock nearby and hit one man. Finally, woman’s voice counting numbers reaches “100...” This is a 3 minutes short film describing a dangerous moment lurk in our life.

VTR / 4:3 / 3 minutes

STAFF

脚本・撮影・編集 /
横田丈実
出演 /
前畑陽平・ヤスノブ・馬場浩彰・村井千恵(声)

DIRECTOR'S NOTE DIRECTOR'S NOTE

映像作家の井村征爾くんより依頼がありました。自主映画の上映会をするので作品を出してほしい。ただし作品の長さは3分前後。いわゆるショートムービーですね。

人が100を数える間に起きる出来事を描くことにしました。

カットを割って撮影するのではなく、100を数える間に起こる出来事を、最初から最後まで役者に演じてもらいました。何度も何度も。30回あまりは演じてもらった気がします。それをあらゆる角度から撮影していきました。 ビデオ編集なので頭から繋いでいかなくてはいけない。それでも編集素材は山ほどあるので可能性は無限にあります。3分ほどの作品なので色んな繋ぎ方を試してみました。

編集素材がたくさんあるのと、もうひとつ良かったのは、役者の演技が自然なこと。カットを割っていないので生々しいんです。 すっかりこの手法が気に入り、次回作「FISHBOX 魚箱」では、全面的に使用することになります。

私は北野武監督の映画が大好きです。「静」から「動」への流れに魅了されます。いわゆる「暴力」の起こる間合い。「100」は私のキタノ映画への憧れが出ているのかもしれません。